海外ミステリーの原題と翻訳の謎

おとなしい共同経営者(E・S・ガードナー)

原題:The Case Of The Slient Partner
google翻訳:サイレントパートナーの場合

"the case of the"は「~の場合」や「~事件」と翻訳されるのはいつものことですが、"slient partner"を「おとなしい経営者」とする理由はあるのか。
他に候補なら、「寡黙な男」や「無口な女」、「静かな店主」とかか・・・。
題名からは話の内容が想像できない。
一体どんな話なんだ・・・?

そして死の鐘が鳴る(キャサリン・エアード)

原題:His Burial Too
google翻訳:彼の埋葬すぎます

あまり日本での知名度はないエアード。
本格ものでありながら、やや地味な印象を持たれていることが要因かもしれません。

「そして死の鐘が鳴る」を翻訳すると"And rings the bell of death"となり、翻訳者の創作タイトルと思われる。
たしかに鐘楼のようなものは作中に登場するため、案外合ってる訳かもしれない。
少なくとも"his burial too"よりは合っている。

愛は血を流して横たわる(エドマンド・クリスピン)

原題:Love lies bleeding
google翻訳:出血愛の嘘

ハーレクイン如くロマンシングで洒落たタイトル。

"Lie"は「横になる」の他「嘘」の意味もあるため機械の翻訳ではやや意味不明な訳に。
さらに、「血を流す」の「血」は"blood"ではなく「出血」を意味する"bleeding"が使われているため、流れ出す血でも一般的な「血を流す」ではないようです。
血は血でもなにが違うのか。

ソロ対吸血鬼(デイヴィッド・マクダニエル)

原題:The Vimpire Affair
google翻訳:吸血鬼事件

"Solo vs.Vimpire"という安直な表題ではないことが結構以外。
海外作品はときとしてタイトルを着飾ろうとしない節があるように思える。
そういう意図しないタイトルセンスも魅力の一つですが。

「事件」を表す単語には"incident""case""affair""mystery"と様々なものがありますが、どのように使い分けているかは謎です。
本作も"Vimpire Mystery"や"The Case Of The Vimpire"と表記することもできると思いますが、なぜ"The Vimpire Affair"なのか。

霧の壁(フレドリック・ブラウン)

原題:we all killed grandma
google翻訳:我々はすべて殺されたおばあちゃん

表紙も特徴的な本作。
翻訳タイトルを訳すと"Wall of fog"。
原題はタイトルには適さなかったのであろうか。

あらすじを見ると、「壁」と「殺されたおばあちゃん」とあるため、内容に関しては原題も翻訳も遠からずして近からずのようだ。

長い剃刀・ハリウッド式殺人法(スティーヴ・アレン)

作品内容は同じだがそのタイトルと原題(?)が異なる。
EQ編集部 英米超短編ミステリー50選(光文社文庫)とエラリー・クイーン編 ミニ・ミステリ傑作選(創元推理文庫)に収録された。
それぞれの本の原題は、"Everybody Hates David Starbuck"(小梨直訳)で「長い剃刀」と訳され、"Muder a la Hollywood"(吉田誠一訳)で「ハリウッド式殺人法」と訳された。
前者が英語なのは当然ですが、後者はgoogle先生がいうにはスペイン語らしい。

直訳すると、

  • Everybody Hates David Starbuck→誰もがデビッドスターバックス嫌い
  • Muder a la Hollywood→ハリウッドへMuder

となりますが、前者は英米超短編ミステリーに収録されていますので、作者のスティーヴ・アレンはイギリス人ないしアメリカ人の可能性が高く、前者こそが原題かと思われる。
(そもそもスティーヴ・アレンに関する情報が少ない)

改題の可能性も捨てきれませんが、仮に改題され、

  • Everybody Hates David Starbuck(原題1)
  • Long razor(改題した原題2)
  • 長い剃刀(翻訳)

とプロセスを踏んだ場合、英米超短編ミステリー50選の原題・翻訳者欄は、"Long razor"(小梨直訳)としたほうが自然であり、原題1を原題2の翻訳として掲載するのは考えられない。
後者はスペイン語で再翻訳されたものを再々翻訳されたものではないでしょうか。

ラム君、奮闘す(A・A・フェア)

原題:Turn On the Heat
google翻訳:熱をオンにします

turn on the~で、「~をオンにする」と訳す。
翻訳されたタイトルに原題のかけらも感じないのは、翻訳者の創作タイトルだからでしょう。
内容と合致したタイトルをひねり出すのもなかなかに骨が折れるのかもしれません。

ガードナーはやたら独創的なタイトルばかりつけるが、内容はそれに合致したものが多いと翻訳者はいう。
そうなのだろうか。

関税品ありませんか?(F・W・クロフツ)

原題:anything to declare?
google翻訳:何かを宣言するには?

原題の感じからして直訳ではねえなと思ったけど、遠からずして近からず、面影はあるように思える。
砕けた言い方をすると「何か言いたいことは?」と弁明の余地を与えている感じになるのか。

マクベス夫人症の男(レックス・スタウト)

原題:please pass the guilt
google翻訳:罪悪感を渡してください

原題と翻訳タイトルに何一つつながりがない。
翻訳者の山本博氏によると、お塩をとってくれない?(please pass the salt)を原語とする言い回しらしい。(この辺りはわからん)
マクベスとはやはりシェイクスピアの作品の関係していると思うが、その夫人症候群とは一体。

幸いなるかな、貧しき者(ハドリー・チェイス)

原題:I would rather stay poor
google翻訳:私はむしろ貧しい人に滞在する

直訳なのかある程度の創作が入っているのか判断しにくいタイトル。
貧しい=poorなのは分かるが、「幸せ」はどこから来たのか。
happinessやらfortuneやらluckyといった単語があればわかるのだが。